理想都市「名古屋圏」を目指す
スマートシティNAGOYA
「ヒートアイランドを変える」

温暖化による脅威と都市

WWF(世界自然保護基金)は、2009年11月、地球温暖化によってもたらされる脅威について、ひとつの報告を発表した。それは、アジアにおける都市の危機というものだった。
今回、WWFが都市名をあげて警鐘したのは、東南・南アジアの沿岸や河川デルタ域にある都市で、その筆頭にはバングラデシュのダッカが掲げられた。
バングラデッシュでは、過去にも度重なる大洪水と直面してきたが、現在、そして未来にわたっても甚大なる被害が予想され、暴風雨や海面上昇、洪水や渇水などの危機にさらされるとし、次いで、インドネシアのジャカルタ、フィリピンのマニラ、ベトナムのホーチンミン、さらに九州・鹿児島とほぼ同緯度にある中国の上海ですらも例外なく危機が予想されると言及している。

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発展途上の国にあっては、人口密集度の高い都市において十分な対策を講じる経済力に乏しく、大規模災害の発生時には多くの人命が奪われる。人的被害は少なくとも数百万人から数千万人規模にまで及ぶ。そうした都市の多くは、海抜が低く、堆積砂地の脆弱な地盤上に形成されているうえ、熱帯や亜熱帯気候の影響を受けやすい地理的条件下にある。

しかし、気候変動による深刻な事態は、赤道帯周辺や極地でのみ起きている地域問題と捉えることは極めて楽観的であり、年々(確実に広がり)北上しているリスクに対して無防備な状態を容認することでもある。
温暖化が進行すれば、早かれ遅かれ日本列島各地の主要沿岸都市にも新たな被害の発生が考えられる、現に、高潮や集中豪雨による洪水、竜巻等による被害が各地で頻発していることから、これまで経験し得なかった脅威が、身近なところまで忍び寄っていると考えるべきである。

「スマートシティ」という概念

真冬でも降雪や降霜の日がめっきりと減ってしまった日本の大都市においては、地球レベルの気候変動による影響もさることながら、「ヒートアイランド現象」という局所的な温度変化の影響もある。そして、都市のヒートアイランド化は、間違いなく温暖化促進物質の大量排出にも連動する。
気候変動への人的影響要因として指摘されるCO2などの温暖化促進物質は、経済活動の盛んな都市において集中的に排出されていることへの危機感は少なくない。
人類の望む文明の進展は、さらなる拡大と向上が描かれ続けるが、それには先進都市の問題解決に向けた取り組みなくしてあり得ない。そのためのひとつの選択が「スマートシティ」という概念であり、望ましい地球環境と経済発展を両立する新しい都市の姿でもある。
都市がスマートであるための根幹には、多様なチャンネルから捉えたエネルギーロスを抑えるためのシステマティックな仕組みが必要とされる。これは一朝一夕にして完成するなど、容易にスイッチできるものではない。
しかし、「スマートシティ」という理想都市へ向けての幾つかのパートは既に存在している。例えば、「再生可能エネルギーの利用や3Rの選択」、「建築や設備での取り組み」、「ITSにみる交通システムの構築」、「生物多様性における共生(後に進化系としてネーチャーポジティブという取り組みも)と便益性の再考」などである。
日本列島の大動脈の中心に位置する名古屋圏において、いま何があるのか、何が出来うるのかについて、現状から捉えた個々の視点に立って、スマートシティへの展望を探りたい。

進行するヒートアイランド現象
また暑い夏はやって来る。

(2011年の冬、この年の)正月から立春にかけての気候は、おおかたの予想に反して寒かった。
こんな時に、「ヒートアイランド」とはいかにもミスマッチと思われるかも知れないが、もうすぐ三月、あっという間に気候は逆転する。まもなく、うだるような都会の夏はやってくる。厳冬ほど、その年の夏は猛暑となるらしい。そうなれば、「やっぱり、今年も(昔より)暑い」と誰もが実感することになるだろう。
地球規模の温暖化防止への取組みにおいては、CO2の削減など大きな課題が山積しているが、まずその前に、日頃から実感している身近な環境改善なくして大目標の達成には至らない。

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大都会で感じる環境変化の一つに「ヒートアイランド」という現象がある。
「ヒートアイランド」は、都市地域の気温がその周辺などの非都市地域と比べると高い、異常に高いとする現象で、人口の集中する都市特有の現象である。
その原因の多くは、人の行為による排熱と、都市特有の構造などによる蓄熱作用によって引き起こされる。温帯、あるいは冷帯(亜寒帯)にある都市が、あたかも熱帯地方の島のような高温域となってしまうことから名付けられた。
(新聞特集 2011年2月掲載紙面記事より)

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